5月のコモディティ・マーケットは農産物セクターの堅調な推移が顕著であったものの、他のセクターは揃って売り優勢の展開となった。ラニーニャ現象が伝えられる中、今後の推移も注目したい。
エネルギーセクター(含WTI)
米国におけるガソリン需要は引き続き底堅く推移したものの、米エネルギー省の週間在庫統計にて事前予想を上回る在庫の積み上がりの発表が相次ぎ、上値が重い展開となった。上旬は前月の流れを引き継ぎ軟調な展開。特に受渡地点のオクラホマ州クッシングにて例年に比べ高水準の在庫をかかえるWTI原油は一時1バレルあたり61ドル半ばまで下落した。その後は夏のドライブ需要本格化を前にして、故障によりなかなか上がらない精製所の稼働率に加えて、地政学リスクの台頭(ナイジェリアでの石油労働者の誘拐や石油施設への攻撃など)により原油生産への不安が煽られ、エネルギーセクターは全般的に反発、WTI原油は64ドルまで戻した。中東情勢により敏感に反応すると言われるブレント原油は71ドルまで上昇する場面も見られた。
非鉄金属セクター(含銅、アルミニウム)
ペルーでの全国規模のストライキを受けた銅や亜鉛を中心に、米国での強気な景気指数の発表もあったことから、月初はセクター全般的に強含みで展開。その後は、積み上がる上海取引所の在庫を背景に世界最大の消費国である中国の需要減速が懸念視され、銅を中心に急落。月末の上海総合株価指数の急落もこの流れに拍車をかけ、結果的にセクター全体で前月末を下回っての引けとなった。ここ数ヶ月在庫手薄状態を背景に過去最高値を更新する場面が幾度となく見られたニッケルは序盤こそ堅調に推移したものの、ボラティリティは高い水準で展開。LME在庫の積み上がりとともに反落した。
農産物セクター(含大豆、コーン)
北半球にて本格的な作付けシーズンを迎えたコーンは、序盤こそ米国中西部での降雨による作付けの遅れが材料視され強含みに推移したものの、その後は事前予想を上回る作付けが確認されたことからその懸念は徐々に払拭された。しかしながら、米農務省による需給逼迫の予想や中国での飼料需要拡大の思惑が台頭し、作付け地域での乾燥とともに強気材料となった。コーンに続き本格的な作付けシーズンを迎える大豆は作付け面積の減少見込みの他、飼料や燃料向け需要増加により底堅く推移。前月に寒波が到来し、米国南部での集中豪雨が強気材料となり寄与した小麦を含め、農産物セクターはコモディティ5セクターで最も堅調に推移した。
貴金属セクター(含金)
5月の貴金属セクターは、コモディティ5セクターの中で最も弱含んだ展開となった。月初こそ、弱含みの米雇用統計を背景としたドル安から強含みで展開したものの、米国での利下げ懸念の後退からドル高が進み一転、軟調な展開となった。ショートカバーや事前予想を下回った米消費者物価指数の影響も他の買い材料が限られる中、限定的であった。
(ゴールドマン・サックス証券 市場商品営業部 ヴァイス・プレジデント 高野 太郎)
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