| 原油:1バレル100ドルを目前にして
ついに1バレル90ドルを突破。つい最近までは誰も信じなかった原油100ドルの時代も目前に迫ってきました。
原油在庫は、非常に逼迫した需給バランス(底堅い需要に対して伸び悩んだ世界的な原油生産)を背景に8月から9月にかけて大幅に取り崩され、この引き締まったファンダメンタルズが冬場にかけてより一層の在庫減少の憶測をよび、地合いの強い展開の根源となっているといえるでしょう。
もちろんこの先どこまで買いが進むかが多くの注目を集めていますが、ここであえて注目に値する強気材料と弱気材料を一つずつとりあげてみましょう。
まず、弱気(懸念)材料としてはリファイナリー・マージンの低下が挙げられます。夏以降の石油製品価格と原油価格、リファイナリー・マージンをみると、原油価格の急騰に石油製品価格は追随せず、リファイナリー・マージンは大きく落ち込んでいます。リファイナリー・マージンの低下は、石油製品在庫の調整のための精製所稼働率の低下を招く可能性もあることから、原油価格に対してはマイナス懸念材料といっても過言ではないでしょう。
一方で強気な要素としては、ガンマ取引加速の可能性が挙げられます。下のグラフはNYMEXに上場するコール・オプションの権利行使価格別残玉を表したものです。
本年1月の原油価格急落も記憶に新しいかと思いますが、暖冬に加えて売りに拍車をかけたのが、ちょうどこの逆の展開でした。当時、主に金融機関がヘッジの目的で保有していたプットの売りポジションは1バレル60ドルや55ドルに集中しており、原油価格が下落しこれらのレベルに近づくにつれ、各金融機関はデルタ・ヘッジを強いられ、先物を売却。このネガティブ・ガンマと呼ばれる状態は当時の地合いの弱い展開に大きく寄与していたといわれています。
上にあるグラフを観察してみると、現在原油オプションマーケットにはコール・オプションの残玉が90ドルや100ドルに集中していることが見受けられます。これは原油価格がこれらの水準に近づくにつれ、デルタ・ヘッジとしての先物の買いが進み、マーケットの下支え要因、あるいは、上昇トレンドを加速化させる要因となる可能性を示しているともいえます。
2007年も残り2ヵ月。年初には一時50ドル割れの場面もあった原油価格は年末にかけていったい100ドルを超える場面があるのか。熱いエネルギーマーケット、大注目です。
(ゴールドマン・サックス証券 市場商品営業部 ヴァイス・プレジデント
高野 太郎)
eワラント一言コメント:eワラントのWTIリンク債コールは2007年10月30日時点ですべて権利行使価格が原資産価格を下回るイン・ザ・マネーになっています。レバレッジは4〜6倍程度に下がっていますが、どれも時間経過に比較的影響を受けにくい状況になっているので、現時点では数週間から1〜2ヶ月の投資に適していると考えられます。一方、現存のプットはどれも水準が大きくはずれているので、数日程度の短期で急落を狙うハイリスクな投資に限って利用する方が良いと思われます。
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