今回は、南アメリカ大陸で最大、世界全体でも5番目に大きな国土を有する国であるブラジル連邦共和国の在日大使館を訪問しました。
ブラジルは、BRICsの一角として高い経済成長が期待されています。ゴールドマン・サックス・グループの予測では、2050年には当国の経済規模は世界第4位になるとされています(2007年時点予測)。当国は、日本の約23倍の広大な国土を活用し、伝統的な農牧業の他、工業および鉱業が盛んです。特に、代替エネルギーとして注目を集めているエタノールの生産や、生活基盤(インフラストラクチャー)の建設も積極的に行われており、これらの分野に海外からの資金も流入しています。
経済構造改革や堅実な財政政策などを行った結果、1990年代から一転し、1996年以降、インフレ率は比較的安定しており、2007年には4.0%とエマージング諸国の平均(6.1%)を下回っております。このレポートを通し、ブラジルの成長性を感じて頂ければ幸いです。
今回訪れた在日ブラジル連邦共和国大使館は青山通りから路地に入った場所にあります。ブラジルの国旗の構成色である、緑、黄、青色が建物のあちこちにちりばめられています。訪れた日は雪がかなり降っていましたがブラジル大使館の方が暖かく迎えて下さいました。
今回お話を伺ったのは、在日ブラジル連邦共和国大使館のジョアン・バチスタ・ラナーリ・ボ公使です。
ラナーリ・ボさんは、2006年以降、東京の在日大使館で現職に就かれておりますが、以前は中国、米国、コロンビアなどで書記官として勤務されておりました。ブラジルの経済や魅力についてとても丁寧に教えて頂きました。ラナーリ・ボさんは、4カ国(葡語、英語、仏語、西語)もマスターされているそうです。
BRICsの一角として将来の高い経済成長が期待されているブラジルは、2006年に世界の農業ビジネス業界で存在感を示すようになりました。バイオ燃料用のエタノール、コーヒー、柑橘ジュースの分野では世界最大の生産国かつ輸出国となっています。さらに、当国は大豆関連製品およびタバコの世界最大の輸出国でもあります。ここ数十年にわたり、穀物の生産は増加傾向にあり、特に小麦、トウモロコシ、大豆の輸出の伸びが顕著です。広大な国土に広がる多様な気候を活かし、ブラジルは北部の熱帯性果物(各種のナッツ類からアボカド類)から南部の温帯地域の柑橘類、ブドウ類など、あらゆる種類の果物を生産しています。

また、航空産業やエネルギー産業が盛んです。ブラジル最大の輸出企業であり、2000年に入り急成長している優良企業として注目を集める航空機メーカー、エンブラエルから、2007年にJALは「エンブラエル170」の購入を決めました。このように、先進国から多数の発注があります。 エネルギー産業の分野では、ペトロブラスが石油の生産、精製のほか、サトウキビを燃料としたバイオエタノールの製造販売も手掛けています。また、深海油田の探査、掘削技術は世界最高水準とされています。
原油価格高騰、そして地球温暖化。今代替エネルギーの必要性が高まっています。ブラジルは、代替エネルギーとして今非常に注目を集めているエタノール産業に力を入れています。1973年の石油ショックによる石油の高騰に対処するため、1975年からプロアルコール政策を実施し、自国の豊富なサトウキビから生産できるエタノールをガソリン代替にすることを進めてきました。すでにブラジルでは年間に販売される新車の3分の2がエタノール燃料に対応したフレックス燃料車となっています。バイオエタノールは環境にもやさしい上に、料金もガソリンの半分ほどと安くなっています。欧米でも「バイオエタノール」の需要は高まってきており、相次いで自国での製造工場の建設も始まっています。こうした世界需要をにらみ、バイオエタノール先進国、ブラジルは世界への輸出拡大を図っています。
ブラジルは、2002年以降、経常収支が黒字となっています。経常収支が黒字というのは、輸入より輸出が多く、また、支払いより受取りの額が多いということです。このように、経常収支が黒字であり、国の財政が健全であることは非常に重要です。また、ブラジルの輸出先は、欧州をはじめ、米国、アルゼンチン、中国と、一カ国に偏ることなく、幅広い国々に輸出を行っています。

ブラジルには、ボベスパ証券取引所(BOVESPA)があります。ラテンアメリカにおける日々の取引額のうち76%はこのボベスパ証券取引所において行われており、ラテンアメリカにおいて重要な地位を占めています。当証券取引所における、日々の取引額も増加傾向にあり、2002年には20億米ドルであったものが、2007年9月時点では、250億米ドルと約13倍になっています。
日本とブラジルの外交関係は1895年の修好通商航海条約調印から始まります。1908年6月には日本からの本格的移民が開始され、その後、第二次世界大戦中の断交状態(ブラジルは連合国として参戦)と国交回復を経て、現在は活発な人的、経済的交流が行われています。日本とブラジルは飛行機でほぼ24時間かかりますが、その距離の遠さに反比例して世界各国の中でも特に日本との縁が深い国になっています。1950年代以降、日本の高度経済成長期にかけて東芝やトヨタ自動車、東京海上日動、コマツ、ヤクルトなど、重工業から金融、サービス業にいたるまで様々な業種の日本企業がサンパウロを中心に数百社進出しております。また、日本人学校、サンパウロ日本人学校など多数の日本人学校がブラジルにはあります。一方、日本においてもブラジルの音楽やスポーツ、料理などの文化が広く親しまれており、ブラジル料理の店やバーが多数存在しています。両国間の人的交流が活発にあり、その関係は非常に深いものがあります。
一口メモ:「ブラジルの有名人」

ブラジルには世界的に有名な著名人が数多くいます。サッカー界の神といわれるペレ(本名:エドソン・アランテス・ド・ナシメント)や、日本代表監督を務めたジーコ(本名:アルトゥール・アントゥネス・コインブラ)、そして、1988年、1990年、1991年の3度F1ワールド・チャンピオンとなった、アイルトン・セナなどが有名です。ペレは、生涯で1281ゴールを記録するというその実績から、「20世紀最高」あるいは「サッカー史上最高」と評される選手で、「サッカーの王様」と称されています。ジーコは、フィリップ・トルシエの後任として2002年7月22日にサッカー日本代表監督に就任しました。セナは、3度F1ワールド・チャンピオンとなりましたが、1994年サンマリノ・グランプリで、レース中に事故死しました。セナは多くのファンや関係者から史上最高と称えられている偉大なレーシング・ドライバーです。
インタビューを終えて・・・
ブラジルは、今話題のバイオ燃料の原料となるエタノールの生産を積極的に行うなど、伝統的な農牧業以外の分野にも力を入れています。広大な国土と世界第5位の人口は、今後のブラジルの経済成長の重要な要素になると感じました。
(このインタビューは2008年1月23日に取材したものです。)
ブラジル大使館の方おすすめの、“Bar Centro 1916 青山通り”に行ってまいりました。青山通りの国連大学の前にあり、1916年創業の歴史あるお店でした。店内には、ブラジルの国旗や絵画、写真などが飾られており、ブラジルの雰囲気を感じることができました。ブラジルでよく飲まれている、「カイピリーニャ」と呼ばれる、ライムを丸々1個使ったレモネードのようなカクテルを頂きました。氷とライムがたくさん入っており、独特の味でした。

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